Smartly.io の荒井です。坂本と一緒にこのブログを更新していきます。皆様のお仕事のヒントにかけらでもなればこの上なく幸いです!
それでは早速今回のトピックへ。
2020 年 6 月現在、世界中でロックダウンが緩和され始めている最中です。
Smartly.io では、ロックダウン/自粛期間中にブランドがソーシャル広告を通じてどのようにエンドユーザー (顧客) との繋がりを維持しようとしているのか、グローバルで調査を通じて状況を把握してきました。
そして現在、緩やかに状況が改善していく中で、少しずつ元の暮らしを取り戻そうをする人が増えていくことで、状況が再度変わろうとしています。
Smartly.io はエンドユーザーへのアンケートを通じて、リテール (小売) ブランドが今何をすべきかを調査しました。
ただ今を生き残るだけではなく、今後数ヶ月をかけて、どのように舵を切っていくべきなのか?そんなマーケターのみなさんが持つ疑問を、世界中のブランドや消費者からのインサイトをまとめたので、概要をお伝えします。
市場シェアを獲得するなら、今が大きなチャンス!
広告費がまだ全体的には減ってしまっているにもかかわらず、小売業者は実は他のどの業界よりもかなり速いペースで、ソーシャル広告のアクセルを踏み始めています。
グローバル でみた CPM はまだ低いものの、米国とヨーロッパ・中東・アフリカ地域 (EMEA) での着実な成長に牽引され、4 月を通して上昇傾向にあります。オンライントラフィックの増加により、e コマースの CPM は 4 月を通してやや低めで安定的に推移していますが、一方で、小売ブランドは 3 月末に休止していた後に回復し、4 月を通して着実に広告費を増加させているというのが全体的なトレンドです。
長くなりましたが、
- CPMの低下
- 広告主の増加
- (ユーザーにとって) 初めてみるブランドが増えた
- 広告を止めていた広告主も復活
となっているのです。
一方で、e コマース業界が『オンラインのサプライチェーンの向上』と『オーガニック検索の増加』の恩恵を受けている一方で、小売ブランドは、実店舗への送客ができなくなったことから、消費者のニーズにどう対応するのがベストなのかを引き続き探し続けています。
また、ブランドの存在感を維持し、顧客に引き続き思い出してもらうため、店舗や屋外広告といったリアルのコミュニケーションからデジタルへのマーケティング費用の再配分が、非常に重要になっています。
ロックダウン期間中も消費者は引き続き物やサービスを購入しており、彼らの需要に応えて製品やサービスを宣伝することができたブランドは、この期間中も安定した収益を維持しています。そうした小売ブランドがソーシャルネットワークを通じて消費者にメッセージを届けるため、様々な手を打っており、それらが今、報われ始めています。
ソーシャルチャネル上の広告を通じたユーザー獲得は、正解が一つではありません。ですが、この厳しい時代に、ブランドの認知と売上の両方を確保するための ROI を上げる方法として、ソーシャル広告がより信頼できる打ち手として受け入れられるようになったと弊社では見ています。
顧客獲得ファネルを再構築し始めている各ブランド
オンライン上で新しく活動し始めた消費者グループの登場により、多くの小売ブランドは、リターゲティングと新規顧客獲得のための広告費をともの着実に増やしています。
各ブランドは、現在のオンライン市場でうまくいっている、ターゲットをより絞った新規獲得キャンペーンへの取り組みを少しずつ試しています。同時に、3 月に一時的に落ち込んだリターゲティングも再び上昇し始めています。小売ブランドが、過去に接触した消費者や、そして自社サイトを訪問した消費者が、購入の意思を持って事業者側とつながっていることに一定の手応えを持っていることを示しているのかもしれません。
また、ブランドの認知度を高めるキャンペーンの出稿量も増加しており、多くの広告主がリーチと頻度を重要視していることは間違いないようです。
購入行動に関しては、ソーシャル広告を通じた購入率は依然として高く、消費者がソーシャルメディアを利用しており、ソーシャル広告に高い関心を持っていることを示しています。
米国では、消費者の 3 分の 1 が過去 30 日間にソーシャル広告を通じて商品/サービスを購入したという調査結果も出ています。消費者が『今後 30 日間でソーシャル広告を通じて購入することに最も意欲的なカテゴリー』は、”食料品” と “ファッションアイテム” でした。
まだ新興のブランドにおいては、引き続き積極的に露出を増やそうとしています。コロナの影響により消費者は、SNS をより多く使っているものの、前述した低い CPM により、これまで購入したことのないブランドの広告露出の機会が増えています。事実、多くの消費者も広告に対して『より関心が高くなった』と答えています。
コロナ関連のメッセージングに飽き始めた消費者
弊社の調査によると、3 月中旬以来初めて、ブランドによる『コロナ関連のメッセージング』に対する消費者の好意度が低下し始めました。好意度はまだ絶対値としては高いものの、この減少傾向は、ブランド・企業にもっと適切なメッセージングをして欲しいという消費者の意識の表れではないか、と我々はみています。
5 月には、『社会貢献を促進するための広告』に対する消費者の心理も初めて後退しました。減少幅は小さく、多くのブランドが既にそういった取り組みを進めているものの、現在の状況を踏まえて、消費者が企業が発信する社会的なメッセージをどのように受け取るかを一度立ち止まって、検討する必要があるかもしれません。すでに違う方向に消費者が向かっている可能性も捨てきれないからです。
一方で、新型コロナがもたらした『状況の変化に関連性の高い商品を扱った広告』への好意度は、ロックダウンが始まってから、それ以前よりも増加しています。消費者のニーズを理解し、新しい生活様式を柔軟に提供することができるブランドは、貴重な情報収集源/リソースとして捉えられることでしょう。
そして...
CPM がまだ低い現在は、各ブランドが新規顧客や休眠顧客との関係を再度構築するのに最良の時期かもしれません。
小売業にとっては需要側ではなく、供給側に課題を抱えているようにも見えます。計画していた販売計画を闇雲に追うのではなく、今、着実に消費者に求められている物を提供すること、を考えるべきなのかもしれません。
実店舗への来店に制限がある中で、デジタルチャネルへの対応スピードが他社を引き離す原動力となります。
長々と続きましたが、
- 低 CPM
- 広告出稿の復活
- メッセージに対する期待の変化
- 「新しい生活様式」への需要と供給
を意識していただくことで、こんな状況でも、消費者へメッセージが伝わりやすくなるかもしれません。
弊社では今後も新型コロナの状況を注視し、関連性のある有益な情報をすべて皆様と共有していきたいと考えています。
調査のさらに詳しい情報については、こちらをご覧ください (英語)。
また、先日、日本語で実施したウェビナーはこちらからご覧ください。
ご質問がある場合は、カスタマーサクセスマネージャーにご連絡いただくか、 japan@smartly.io までメッセージをお送りください。
それでは、次回のブログもお楽しみに!
