iOS14 アップデートの後に想定されること

川本 宗千力 Mar 1, 2021 12:04:42 AM | 2 min read

Apple の iOS14 アップデートの一環として、IDFA (Identifier for Advertisers = Apple がユーザーの端末に割り当てる広告用のデバイス ID)にもいくつかの変更が見られ、Facebook は 2021 年 1 月 19 日からこれに対応しています。

新しいプライバシー対策である Apple のATT (App Tracking Transparency) フレームワークでは、iOS アプリが IDFA を使用してアプリ内およびアプリ間でのトラッキングをユーザーにオプトインするよう促すことが求められています。Apple の ATT フレームワーク展開によって、Facebook 広告戦略をどのように変化させれば良いのでしょうか?

変更点のまとめ

以下は、Facebook の広告機能に起こるであろう変更点をまとめたものです。このブログ記事を通して、これらの変更点とその効果について深く掘り下げていきます。

  • アプリインストールキャンペーン
  • ピクセルイベント
  • アトリビューションの変更
  • 配信とアクションの内訳タブの廃止
  • バリュー最適化の変更

戦略のシフト

Apple の新しい要求に対応して Facebook は大きな変更をしました。機能が制限されたり削除されたりすることで、これまでのアプローチやキャンペーン構造が時代遅れになったり、利用できなくなったり、採算が取れなくなったりする可能性があるため、Facebook の配信面やネットワークで広告を配信している広告主は、戦略の転換が必要になるでしょう。

Smartly.io のチームは、今後のベストプラクティスを鋭意作成していますが、何が変化しているのか、どのような影響があるのか、そしてそうした変化にどのように対応するのかを詳しく見てみましょう。

アプリのプロモーション

アプリマーケターの方は、ほとんどの iOSアプリのインストールキャンペーンに再構築の必要がある可能性があることにご注意ください。 1 つのアプリは 1 つの広告アカウントにのみ連携することができ、1 つのアプリにつき 9 つのキャンペーンまでという制限が生まれるからです。

マーケティングチームはキャンペーン構造を統合する必要があるため、クロスボーダーのダイナミック広告、アセットカスタマイズ戦略、アプリの Automaetd Ads (自動広告)がより多く採用されるようになるでしょう。

今後の変更に伴い、広告効果はキャンペーンレベルに帰属するようになるでしょう。Facebook が広告レベルの効果と遅れコンバージョンをどのように仕様として組み込むのかによっては、この広告効果の帰属の変化は戦略に影響を与える可能性があります。

広告主は、メディアミックスの中のクリエイティブの種類を再考する必要があるかもしれません。Facebook広告 の新たな仕様によってもたらされた広告効果であったとしても、今はクリエイティブから得られるインサイトに目を向ける絶好の機会です。

広告、アプリのインストール、インストール後の使用までの一連の体験が一貫していてスムーズであることは、あらゆるアプリビジネスの中核をなすものです。アプリインストールキャンペーンは今後ディープリンクをサポートしないため、広告でのテストを増やし、広告からアプリまでの体験を細かく調整することが、iOS アプリの開発者や広告主にとって、最重要課題となるでしょう。

iOS アプリのコンバージョンは SKAdNetwork (iOS 上の広告キャンペーンにおけるプライバシーに配慮した新しいトラッキングツール) を通じて通知されるため、マーケターにとってはデータの遅延やレポート結果への影響が予想されます。マーケターは、どのような影響があるかを検討し、オーディエンスが適切にターゲティングされているか/されていないか考えてみた方が良いでしょう。

パフォーマンスマーケティングと、ファネルの下流におけるコンバージョンキャンペーン

小さいマージンと多くのシグナルに依存しているパフォーマンスマーケターは、ファネルの下流におけるコンバージョンキャンペーンの戦略をシフトする必要があると思われます。トラッキングをオプトアウトする iOS14 のユーザーが増加しているため、シグナルが不足し、それによって配信の最適化が弱まり、CPA が高くなる可能性があります。

Facebook 以外で発生したコンバージョンは、コンバージョンしたユーザーが広告を閲覧またはクリックした日ではなく、コンバージョンした日に帰属します。iOS14ユーザーからのコンバージョンは、24~48 時間遅れて報告されます。これらの変更により、本当の CPA を決定することがより難しくなるでしょう。

マーケターの皆様は、自社のパフォーマンス目標がどの程度影響を受けるのか、社内のビジネスデータとの相関関係は何かを評価したり、コンバージョンを測定する期間について議論したりするなどの準備を始めるのがよいでしょう。

マーケターは、日々のコンバージョン数や CPA から、より長い時間軸でのパフォーマンスの変化に焦点を移す必要があるでしょう。

Smartly.io では、オークションダイナミクスと価格の変化と、それが入札戦略にどのように影響するかを、注意深く監視しています。

リターゲティングの再考

リターゲティングは、カスタマージャーニーにおける特定の時点でユーザーにリーチするための強力な方法です。しかし、リターゲティング戦略の中には、ユーザーの特定の行動に起因するシグナルや、ユーザーが広告を見る前に発生したイベントに大きく依存するものもあります。

リターゲティング戦略を調整して、より多くのオーディエンスにフィットするようにするには、パーソナライズされた広告コピーやクリエイティブ要素がパフォーマンスに与える影響を常に見直すのが良いでしょう。

多くのマーケターにとって、リターゲティングは最高のパフォーマンスを発揮する戦略です。しかし、最近の iOS ユーザー向けのイベントレポートの変更に伴い、リターゲティングのオーディエンスサイズが減少する可能性があります。

例えば、パフォーマンスが低下し、予算が他の戦略に割り振られた場合、人の心を掴む効果的な広告クリエイティブが、これまでリマーケティングによってもたらされてきたトラフィックを維持するのに役立つかもしれません。

パフォーマンスマーケターは、リターゲティングイベントの期間を、iOS アプリから遅れて報告されるコンバージョンに合わせて調整する必要があるかどうかを検討する必要があります。

マーケターは、ユーザーが行動後に広告でターゲティングされることが迷惑かどうかを判断し、これらのユーザーをターゲティングから除外する方法を調整する必要があるかどうかを判断しなければいけません。また、すべての iOS のウェブ上のイベントを受信しているわけではないとしたら、リターゲティングではどのようなイベントを考慮すべきなのでしょうか?

フルファネルの検討

今後、フルファネル戦略を採用するマーケティングチームが増えるでしょう。マーケターが、パフォーマンスマーケティングの取り組みが目標に達していないことに気付き始めたら、予算の一部をファネルの上流のオーディエンスに再配分するかもしれません。

利用可能なデータが少なくなると、ユーザー行動のシグナルも少なくなります。特定の製品ニーズや、目的地や予約の期間を念頭に置いてユーザーをマイクロターゲット化することは、マーケターにとって効率的でしょうか?

マーケターは利用可能なデータを最大限に活用する必要があります。ハイパーローカルなターゲティングや特定の興味に合わせてクリエイティブをパーソナライズすることは、おそらく効果を発揮するでしょう。

興味深い技術的な課題としては、ファネルの上流と中流のキャンペーンを効率的に設定することが挙げられます。ATT によってトラッキングをオプトアウトしたユーザーに関しては、優先度の高いイベントのみが報告されます。購入が最優先のイベントであると仮定した場合、優先度の低いイベントに最適化されたキャンペーンは、十分なデータポイントを蓄積することができるでしょうか?

レポーティング側では、年齢、性別、地域、プレースメントなどの内訳は利用できなくなりました。どの内訳が効果を発揮しているかを判断するのがより困難になるため、多様な広告クリエイティブを用意することで、デモグラフィックに対して分散した対応をとっていく広告主もいることでしょう。

わずかに良いパフォーマンスのオーディエンスセグメントにゆっくりと焦点を絞ってきたマーケターにとって、より幅広く広告を出すという施策は、新しいオーディエンスの獲得につながり、大きな変化をもたらすかもしれません。

多様なビジネスにおけるリソースの共有

Apple の ATT フレームワークの導入に伴い、Facebook は iOS のウェブイベントに AEM (Aggregated Event Measurement) の適用を開始します。AEM とは、ビジネスがドメインごとに 8 つのピクセルイベントに制限されることを意味します。ドメインはトップ階層 +1 で分離されているため、us.example.com、mx.example.com、app.example.com、または example.com/us/ や example.com/mx/ などのサブページのような第 3 階層のサブドメインは、example.com のために設定されたピクセルイベントを共有することになります。

複数のサブウェブサイトまたは国際的なページを持つ企業は、単一のドメインで使用するイベントを統合するか、別々のドメイン (example.com、example.us、example.com.mx) を使用するように変更する必要があります。ピクセル統合が簡単な作業ではない場合、ウェブサイトの再構築は、かなり面倒になる可能性があります。

多様な物やサービスを提供する場合や、複数のビジネスモデルを持つ場合、ピクセルイベントを共有し、優先順位の高い 8 つのイベントを選択することは、ターゲティングとトラッキングに大きな影響を与える可能性があります。

例えば、買い手と売り手の両方を対象としたマーケットプレイスでは、それぞれのオペレーションごとに 8 つの全く異なるイベントが必要になるかもしれません。買い手はアイテムの閲覧と購入の時点でリーチを測定する必要がある一方で、売り手はアイテムの出品と販売で測定されるでしょう。うまくいけば、コンバージョンと収益の両方に最適化する必要はありません。

前述したように、iOS アプリのインストールキャンペーンの構造は考慮する必要があるでしょう。多様な事業活動は、戦略、オペレーション、国を超えて調整しなければならない場合があります。

シグナル不足への対処

一部の iOS ユーザーは、Facebook アプリか広告主のアプリのようなサードパーティアプリのどちらかでトラッキングをオプトアウトするため、コンバージョンファネル全体でシグナルが減少することになります。

広告主は、システムに関係なく、Facebook の外で 8 つの「オフサイト」コンバージョンイベントにアクセスできることを覚えておくと良いでしょう。そして第二に、iOS ユーザーがトラッキングをオプトアウトした場合、最も優先度の高いイベントのみが報告されます。

オフラインでのコンバージョンアップロード、コンバージョン API、カスタムサーバー間 (S2S) イベント送信は、マーケターにとってより重要な役割を果たすかもしれません。シグナルの強度を補完するためにこれらの戦略を使用しようとしているチームは、iOS 14 デバイスから収集した識別データを使用する際の考慮すべき事項が何かを十分に理解する必要があります。

シグナルの不足が著しい場合は、シグナル量を補い、シグナルの忠実度を高める方法を見つけることを優先すべきでしょう。

“遅れ”コンバージョンの測定

アトリビューションの変更点の 1 つは、クリックアトリビューションの「28 日間」ウィンドウの廃止です。マーケターの中には、広告がクリックされてからずっと後にやってくる「遅れコンバージョン」に頼っている人もいます。多くの場合、こうしたコンバージョンは、サインアップの後に起こる何かのように、ユーザーのライフサイクルのさらに下のイベントであるかもしれません。

マーケターは、利用可能なアトリビューションの時間内で発生し、その後に発生するイベントと高い関連性があるプロキシメトリクス (代替となる指標) に頼る必要があるでしょう。例えば、プロキシメトリクスに係数を適用して、相関性のある後の指標をレポートする機能があると良い結果が得られるかもしれません。

今回のアップデートの影響を受けるマーケターにとっては、ビジネスの真の目標を理解し続けるために、測定値を調整することが優先度の高いことになるかもしれません。特に遅れコンバージョンに頼っている場合は優先度が高いでしょう。

サーバー間のソリューションを使用して、遅れて発生するイベントを広告に紐付けアトリビューションする方法は、一部のマーケターにとっては有用かもしれません。

オーディエンスを引きつけ続ける方法

iOS14 のユーザーがデバイスのトラッキングをオプトアウトすることで、アプリの接続、アプリのアクティビティ、ウェブサイトのアクティビティに基づくカスタムオーディエンスのサイズが減少するでしょう。同様に、リターゲティングのオーディエンスも減少する可能性があります。

オーディエンスのサイズがどの程度減少するかによっては、キャンペーンにおける配信やパフォーマンスが低下する可能性があります。しかし、マーケティング担当者は、インパクトの大きいカスタムオーディエンスを完全に手放すべきではありません。なぜならカスタムオーディエンスは依然としてユーザーをターゲティングしコンバージョンに導く上で有用だからです。

マーケティングチームによっては、より幅広いターゲティングを行うようにシフトしたり、「興味関心」「位置情報」「利用者データ」などの「ネイティブな」ターゲティングの使用を増やすのがよいかもしれません。クリエイティブのパーソナライズと多様性は、ユーザーを惹きつけ、感動させ、コンバージョンさせる上で重要な役割を果たし続けるでしょう。

年齢、性別、地域、プレースメントといった配信の内訳が失われることで、広告のクリエイティブが特定のセグメントに対してどのような効果を発揮しているのかを十分に理解することが難しくなります。

iOS 14 アップデートについてご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせください。変化に対応する準備をお手伝いをさせていただきます。

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著者
川本 宗千力
Smartly.io 日本チーム インターン。2021 年 4 月からは広告営業として外資 IT 企業に入社予定。東京大学 4 年。

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